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2024年04月24日
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ふわふわきらきら。

2009年04月07日


お絵描きスランプ持続中!(ぉぃ)
…なので、今日の分の短篇小説を上げておきたいと思います。

ちょっとかさばってきたので、CTの短篇小説だけ別カテゴリーにお引越です。
はぁ、文才ほしいなぁ。(遠い目)

今回は堂々と魔クロで仕上てみました。
時は現代、季節は今…春です^^

多分すべての事を終えて、平和になった頃のお話…。
クロノの幼稚なお遊びに、魔王が問います。











「何をしているんだ?」
 


穏やかで優しい声と共に、また一つ大空へと飛び立った。

それは春風に吹かれて、音もなく割れた。










       シャボン











「ん、シャボン玉。」

晴天の中、満開の桜の木の前で腰を下ろしていたクロノはそう答えた。

見れば誰でもわかると思っていたシャボン玉。
こんな事を他人に問われるとは思っていなかったのか、吹くのをぴたりと止めた。
 
「シャボン玉? 魔法の一種か?」

「んな訳無いよ。」

シャボン玉の外見はウォータとよく似ているのか…魔王は少し首を傾げて。

「あれ、魔王はシャボン玉を見たことないの?」

「無い。 今見たのが初めてだな…。」
 
静々とそう答え、空に浮んだ一つのシャボン玉を、紅い瞳でまじまじと見ている。
そのシャボン玉が割れると、魔王は「あ…」と小さく声を漏らして、空からクロノに視点を変えた。

「割れたな…」

「ま、魔王? そんな哀しい顔すんなよ!」

意外にも、たかがシャボン玉が割れた事で、表情に憂いを含ませる魔王がどこか珍しい。
クロノは内心焦ってしまった。

「シャボン玉なんて直ぐ出来るからさ、ほらっ。」

クロノは持っていたストローの先を細長い容器に浸し、逆から息を吹く。

ふわりふわりと、大小のシャボン玉が作り出されてゆき、大空を優雅に舞う。
それと同時に、満開の桜からも、花弁が風に乗って飛んでゆく。

魔王はそれに見とれて、表情は憂いではなく、いつの間にか笑みが零れていた。

「魔王、シャボン玉は直ぐ消えちゃうものけどさ、作り出すのも簡単なんだ。」

クロノは満足そうに、また手を止める。

「綺麗だから、直ぐ消えてしまうのだろうか。」

「…へ?」

魔王から出る言葉は、いつも深い意味がありそうで。
クロノは不思議な心境になって、またシャボン玉を吹く。

吹き終えて、不意にこんな言葉が漏れるが。

「ジャキは直ぐ消えないだろ?」

「…何?」
 
突拍子もない言葉と、滅多に呼ばれない自分の名に、魔王はすっとんきょうな表情をした。

クロノはクスクスと動揺している姿を見て笑う。
 
「どういう意味だ。」

「まぁ、そういう意味?」

「…。 寧ろ逆だろう。」

「な、なんでだよ!」

言い返され、見て分かるように困った顔を作ると、魔王はふっと笑った。


「お前は穢れを知らないから、私よりも輝きがある。」


口説き文句を武器にしつつ、クロノを背後からふわりと抱き締める魔王。

少しだけ驚いたが、驚き以前にこの体勢は。

「…シャボン玉が作りにくい。」

「作れない事はないだろう。」

確かに作れない訳ではない。
仕方なく、魔王の我が儘を聞いて、クロノは狭い腕の中でまた、シャボン玉を作る。

魔王は抱き締めながらも、シャボン玉に見とれている。
クロノが手を止めると、目線を下げて首筋に顔を埋めた。


「…お前はもう、消させない。」


ぼそりぼそりと魔王が呟く言葉は、どこか弱々しく。

容器を置き、魔王の抱き締める腕にそっと触れると、クロノは強く言った。


「オレはもう、消えないよ。」



クロノに作られた幾つものシャボン玉は、虹色に輝きながらも、桜と共に春風に吹かれてゆく。

そして音も立てずに、静かに消えてゆく…。





end




春ですねぇ、春ですよぉ~。(意味不)

ちょっと前に偶然出かけ間際、シャボン玉を見て妄想してました。
ちびっ子たちが吹いているのを見て、和むなぁ…と。
背景に満開の桜の木とは、もっといいぞ!

ほのぼの甘を目指したつもりなんですけど、なってない気がします。(汗)
読んでくれた方、有難う御座いました^^

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